BUN・Creが高い ── これはAKIか、それともCKDの急性増悪か。腎臓サイズ、貧血の有無、カリウム値で見分ける。AKIは「治せる可能性がある腎臓病」。正しい鑑別が生死を分ける。
AKI(急性腎障害)とCKD(慢性腎臓病)は治療戦略がまったく異なる。鑑別のカギは腎臓サイズ(AKI: 正常〜腫大 / CKD: 萎縮)、貧血の有無(AKI: 正常Ht / CKD: 非再生性貧血)、血清カリウム(AKI: 高値が多い / CKD: 正常〜低値が多い)。AKIの初期対応は原因除去(毒物・レプトスピラ・NSAIDs等)と輸液蘇生(脱水補正を6-12時間で)。ただし過水和は致死的であり、体重・呼吸数を厳重モニタリングする。尿量は正常 1-2 mL/kg/hr、乏尿 < 1.0 mL/kg/hr、無尿 < 0.2 mL/kg/hr(透析適応)。十分な輸液後も乏尿が続く場合のFurosemide 2 mg/kg IVチャレンジは近年推奨度が低く、Dopamine(Renal dose)はエビデンスがなく推奨されない。高カリウム血症(K > 6.0-6.5 mEq/L)にはCalcium Gluconate 0.5-1.0 mL/kg IV slow(心筋保護)とGlucose + Insulinを用いる。
| 項目 | AKI(急性) | CKD(慢性) |
|---|---|---|
| 病歴 | 数日以内の急激な発症、毒物・虚血 | 多飲多尿が数ヶ月先行、体重減少 |
| 腎臓サイズ (US) | 正常〜腫大 | 萎縮、不整、皮質高エコー |
| ヘマトクリット (Ht) | 正常(脱水で上昇) | 貧血(非再生性、EPO欠乏) |
| 血清K | 高値(乏尿時) | 正常〜低値(猫)、末期は高値 |
| ボディコンディション | 良好 | 削痩、筋肉量低下 |
| ❌ 旧来 | ✅ 最新 |
|---|---|
| Dopamine低用量(Renal dose)で腎血流改善 | エビデンスなし。Dopamineの腎保護効果は否定されている |
| BUN/Creが高い=CKD | 超音波で腎臓サイズが正常〜腫大ならAKIの可能性。AKIは可逆的 |
| 乏尿 → とにかく輸液を増やす | 十分なRehydration後も乏尿なら輸液増量は過水和のリスク。利尿薬チャレンジまたは透析紹介 |
| 状態 | 尿量 (mL/kg/hr) | 対応 |
|---|---|---|
| 正常 | 1 - 2 | 維持輸液で経過観察 |
| 乏尿 | < 1.0 | Rehydration完了を確認 → Furosemide 2 mg/kg IV を検討 |
| 無尿 | < 0.2 | 透析紹介適応 |
かつて「1-3 mcg/kg/min で腎血流を改善する」とされていたが、臨床研究でその効果は否定されている。
| 薬剤 | 用量 | 作用 |
|---|---|---|
| Calcium Gluconate | 0.5-1.0 mL/kg IV slow (10%溶液) (※心電図モニタリング下で10〜20分かけて緩徐に投与) |
心筋保護(K値自体は下がらない) |
| Regular Insulin + Glucose | Insulin 0.1-0.25 U/kg IV + Glucose 1.5-2g/unit | Kを細胞内に移動させる |