尿管閉塞は即時対応が必要 [1]
内科的管理とその限界
- 閉塞性尿管結石の内科治療が奏功することはまれで、状態の安定した症例に24〜72時間の範囲で検討される。飼い主には失敗率が高いことを伝えておく [1]
- 内容は利尿輸液と、耐えられればマンニトール持続投与。α遮断薬や三環系抗うつ薬は改善の逸話的報告にとどまる [1]
- 輸液は溢水を防ぐため厳密に監視する。持続する乏尿・無尿、高カリウム血症、進行する高窒素血症や腎盂拡張があれば、内科管理を続けず減圧処置へ移る [1]
術前安定化と一時的減圧(腎瘻)
- 高カリウム血症や重度の高窒素血症がある症例では、術前の安定化が必要となる。血液透析のほか、腎瘻チューブ(nephrostomy tube)による一時的な尿路変更が選択肢となる [6][7]
- ロック付きピッグテール腎瘻カテーテルを用いた報告(猫16例・犬4例)では、留置期間の中央値は7日で、全例で腎盂の減圧が得られた。合併症は尿漏れ1例、自宅での自己抜去1例であった [6]
- 来院時クレアチニンが440 μmol/L(約5 mg/dL)以上の猫は、SUB留置後の生存期間中央値が530日と、それ未満の949日より短かった [5]
外科的治療
ACVIMコンセンサスの推奨
猫の閉塞性尿管結石にはSUBまたは尿管ステントでの管理が推奨されている [1]。
皮下尿管バイパスシステム(SUB)
腎臓と膀胱を人工的なチューブでバイパスする方法。
- 成績: 猫95例(130デバイス)の報告で、院内死亡は約10%、重大な合併症は48%(大半は退院後)、軽微な合併症は19%。全体の生存期間中央値は2年を超えた [5]
- 留意点: 術後の尿路感染が95例中27例でみられ [5]、デバイスのフラッシングや画像検査を含む長期管理が必要となる
尿管ステント留置
閉塞部位にステントを留置し、尿管内腔を確保する方法。
- 成績: 猫69例(79尿管)で留置成功率95%、周術期死亡率7.5%。27%でステント交換が必要となった(狭窄、移動など) [2]
- 留意点: ステント留置猫では、慢性的な下部尿路症状と慢性尿路感染がステントなしの尿管手術より有意に多かった [3]
尿管切開・吻合術(Ureterotomy/Ureteroneocystostomy)
結石を外科的に摘出する方法。サージカルルーペまたはマイクロサージャリーの技術が必要。
- 成績: 猫117例の比較で、ステントを使わない尿管手術の周術期合併症は3%(ステント群14%)、周術期死亡率は8%(同9%)で、再閉塞率・生存期間中央値に差はなかった [3]
- 留意点: 尿管切開のみの群はステント群より退院時に高窒素血症が残りやすく、術後に腹水が出た猫は生存退院率が低かった [4]
段階的治療という選択肢
腎瘻で先に減圧し、腎数値が下がってから尿管切開に臨む段階的治療は、来院時の腎数値が高いほど予後が悪いというデータ [5] と、尿管手術の成績がステント留置に劣らないというデータ [3] から、臨床現場で期待の高い選択肢である。ただし、段階的治療とSUB・ステントを直接比較した研究は現時点では見当たらない。