猫の不適切排泄(トイレ以外での排尿・排便)や攻撃性の訴えは、獣医行動学のコンサルテーション理由として最も多い。しかし、これらの「問題行動」の背景に潜む医学的疾患を見逃してはならない。
行動変化を引き起こしうる医学的疾患:
| 行動変化 | 疑うべき疾患 |
|---|---|
| トイレ以外での排尿 | FLUTD/FIC、尿石症、UTI(高齢猫)、糖尿病、CKD、甲状腺機能亢進症 |
| トイレ以外での排便 | 変形性関節症(OA)、便秘、IBD、巨大結腸症 |
| 攻撃性の突然の出現 | 疼痛(OA、口内炎、腹痛)、甲状腺機能亢進症、神経疾患 |
| 過度のグルーミング | 疼痛、皮膚疾患、アレルギー、FIC |
| 隠れる行動・活動性の低下 | 疼痛全般、慢性疾患、認知機能障害(CDS) |
推奨される最低限のスクリーニング:
猫がトイレを使わない最も一般的な理由は、トイレ環境への不満である。
スプレーは排泄行動ではなくコミュニケーション行動(マーキング)であり、立位で垂直面に少量の尿を噴霧する。不適切排泄とは明確に区別する必要がある。
猫の攻撃性には複数のタイプがあり、対応が異なる。
| 攻撃タイプ | 特徴 | 対応 |
|---|---|---|
| 恐怖性 | 追い詰められた時、知らない人や動物に | 逃走経路の確保、脱感作 |
| 転嫁性 | 外部刺激(外猫の姿など)に興奮し、近くの人/猫を攻撃 | 刺激の遮断、クールダウン |
| 遊び攻撃 | 若齢猫、手足をターゲットにする | 適切なおもちゃでの遊び、手での遊び禁止 |
| 疼痛性 | 触られると攻撃する(特定部位) | 疼痛の原因特定と治療 |
| 愛撫誘発性 | 撫でているうちに突然噛む | 猫のボディランゲージ読解、撫で時間制限 |
AAFP(American Association of Feline Practitioners)の推奨する猫のニーズの5本柱:
環境改善のみでは制御不能な重度の不安や攻撃性に対しては、以下の薬物療法が補助的に使用される:
注意: 薬物療法は環境改善・行動修正プログラムと必ず併用する。薬物のみでの行動問題の解決は期待できない。