犬は「一生インスリンが必要」、猫は「寛解が期待できる」── 同じ糖尿病でも種による病態の違いが管理を大きく左右する。GlargineかNPHか、高繊維食か低炭水化物食か。インスリン選択と食事戦略のすべて。
犬の糖尿病はI型に類似(膵島破壊による絶対的インスリン欠乏)で、原則生涯インスリン投与が必要(未避妊メスの発情休止期糖尿病による一時的なものを除く)。第一選択はNPHまたはVetsulin 0.25-0.5 U/kg SC q12h。目標血糖値は100-250 mg/dL。猫の糖尿病はII型に類似(インスリン抵抗性+分泌不全)で、初期の積極的介入により寛解(Remission)率 60-80%が期待できる。猫の第一選択はSGLT2阻害薬(Velagliflozin等、経口)、インスリンを使用する場合はGlargine(ランタス)1-2 U/cat SC q12h。診断は持続的高血糖(犬 > 200 mg/dL、猫 > 250 mg/dL)+尿糖陽性。猫ではフルクトサミン > 400 µmol/Lでストレス性高血糖と鑑別。食事療法は犬が高繊維食(食後血糖ピークの平坦化)、猫が高蛋白・低炭水化物食(<12% ME)(寛解率を劇的に上げる最大のカギ)。
| 製剤 | 用量 | 犬 | 猫 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| NPH(中間型) | 0.25-0.5 U/kg SC q12h | ✅ 第一選択 | △ | 犬で安定した作用 |
| Vetsulin(ブタ) | 0.25-0.5 U/kg SC q12h | ✅ 第一選択 | △ | 犬と同一構造。精製度高 |
| Glargine(ランタス) | 1-2 U/cat SC q12h | △ 一定しない | ✅ 第一選択 | フラットな効果。寛解率最高 |
| PZI(ProZinc) | 0.2-0.5 U/kg SC q12h | △ | ✅ 代替選択肢 | 猫で安定した作用 |
| SGLT2阻害薬(経口) | 製品規定量 PO q24h | ❌ 禁忌 | ✅ 新たな第一選択 | インスリン未治療猫に著効。1日1回経口投与 |
| ❌ 旧来 | ✅ 最新 |
|---|---|
| 犬も猫も同じインスリンで管理 | 犬はNPH/Vetsulin、猫はGlargineが第一選択。種ごとに最適な製剤が異なる |
| 猫の糖尿病は一生インスリンが必要 | 猫はII型類似であり、Glargine + 低炭水化物食で60-80%が寛解(インスリン離脱)可能 |
| 血糖値は正常範囲に厳密に管理する | 犬の目標は100-250 mg/dL。低血糖(<80 mg/dL)を避けることが最優先。Somogyi効果(反発性高血糖)に注意 |
graph TD
A["猫の糖尿病 診断"] --> B{"持続的高血糖 (>250mg/dL) + 尿糖"}
B -->|"鑑別"| C{"ストレス性高血糖 or 糖尿病?"}
C -->|"糖尿病の可能性大"| C1("フルクトサミン >400µmol/L")
C1 -->|"Yes"| D["治療開始: 早急な介入が寛解率向上に直結"]
D --> E{"薬物療法選択"}
E -->|"インスリン未治療猫の新第一選択"| E1["SGLT2阻害薬 (経口): Velagliflozin等"]
E -->|"インスリン療法が必要な場合"| E2["Glargine (ランタス) 1-2U/cat SC q12h"]
D --> F["食事療法: 高蛋白・低炭水化物食 (<12% ME)"]
E1 & E2 & F --> G["厳格な血糖モニタリング (CGM/BGC/フルクトサミン)"]
G --> H{"血糖値と臨床症状評価"}
H -->|"血糖安定・インスリン要求量減少"| I["インスリン漸減を検討 (慎重に)"]
H -->|"低血糖症状出現 or BGCで<80mg/dL"| J["直ちにブドウ糖補給 & インスリン用量減量"]
H -->|"血糖 <60mg/dL (持続)"| K["インスリン一時中止 & 再評価"]
I --> G
J --> G
K --> L{"インスリンなしで4週間以上血糖値正常?"}
L -->|"Yes"| M["Diabetic Remission (寛解) 達成"]
L -->|"No"| I
M --> N["食事・体重管理継続 & 定期モニタリング"]
| 項目 | 犬 | 猫 |
|---|---|---|
| 食事戦略 | 高繊維食 | 高蛋白・低炭水化物食 |
| 目的 | 食後血糖ピークの平坦化 | インスリン要求量を減少させ寛解を促す |
| 炭水化物 | 一定量を維持(可溶性+不溶性繊維配合) | <12% ME(代謝エネルギーベース) |
| 避けるもの | 高脂肪食(膵炎リスク) | 高炭水化物ドライフード |
| 給餌方法 | インスリン投与と同時に定量給餌 | 頻回または自由給餌も許容 |