「The Great Imitator」を見逃さない。非特異的な嘔吐・下痢・虚脱の裏に潜むアジソン病。ACTH刺激試験の読み方からクリーゼの救命処置まで。
アジソン病は「偉大なる模倣者 (The Great Imitator)」と呼ばれるほど非特異的な症状を示し、消化器疾患・腎疾患・感染症と誤診されやすい。犬の原発性副腎不全の大半は免疫介在性の副腎皮質破壊が原因と考えられている。診断のゴールドスタンダードはACTH刺激試験で、合成ACTH投与1時間後のコルチゾールが<2μg/dLで確定。スクリーニングとしてベースラインコルチゾール>2μg/dLで除外可能。アジソンクリーゼではデキサメタゾンリン酸Na 0.1mg/kg IV(ACTH試験に干渉しない)+平衡晶質液ボーラスで救命し、安定後はDOCP 1.1-1.5mg/kg SC/IM 25-30日ごと + プレドニゾロン 0.05-0.1mg/kg/day POの生涯補充で、正常な寿命を全うできる。
graph TD
A["アジソン病を疑う"] --> B("ベースラインコルチゾール測定")
B --> C{"ベースラインコルチゾール > 2μg/dL ?"}
C -->|"Yes"| D["アジソン病を除外"]
C -->|"No"| E("合成ACTH投与 5μg/kg IV")
E --> F("1時間後コルチゾール測定")
F --> G{"刺激後コルチゾール < 2μg/dL ?"}
G -->|"Yes"| H["アジソン病を確定"]
G -->|"No"| I["アジソン病を除外"]
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. ベースライン採血 | 血清コルチゾール測定 |
| 2. 合成ACTH投与 | コシントロピン 5μg/kg IV |
| 3. 1時間後採血 | ACTH刺激後コルチゾール測定 |
判定:
⚠️ デキサメタゾン以外のステロイド(プレドニゾロン等)はコルチゾール測定に干渉するため、検査前2週間は投与を避ける。
| 見逃しやすいポイント | 説明 |
|---|---|
| ストレス白血球像の欠如 | 「具合が悪いのにリンパ球減少・好酸球減少がない」→ コルチゾール欠乏を示唆 |
| Na:K比 <27:1 | 低Na + 高K → ミネラルコルチコイド欠乏を強く疑う |
| 軽度BUN/Cre上昇 | 腎疾患と誤診されやすいが、実は腎前性高窒素血症(脱水・循環不全) |
| 電解質正常でも油断禁物 | 非典型型(Atypical): グルココルチコイドのみの欠乏 → 電解質正常で見逃される |
| ワクシング&ウェイニング | 症状の増悪と寛解を繰り返す → 「改善したからもう大丈夫」で見逃し |
| 項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| アジソンクリーゼ(急性期) |
|
| 維持治療(安定後) |
|
| モニタリング | 注射後10-14日と25日頃に電解質チェック |
| Phase | 用量 |
|---|---|
| 初期 | 0.5-1.0 mg/kg/day PO |
| 維持 | 0.05-0.1 mg/kg/day(多くの犬で十分) |
| ストレス時 | 通常量の2-3倍に増量(来院・旅行・手術) |