「検査値が陽性だからクッシング」は最大の間違い。 臨床所見なしに検査すべきではなく、非副腎性疾患(NAI)による偽陽性が最大の落とし穴。 「臨床症状が先、検査は後」の原則を徹底する。
クッシング症候群(HAC)の最大の落とし穴は「偽陽性」。 併発疾患(DM、CKD、肝疾患、ストレス)があるとLDDS・ACTH刺激のどちらも偽陽性になりうる。 原則: 臨床症状が合致しなければ検査しない。 典型的な症状(多飲多尿・腹部膨満・脱毛・皮膚菲薄化・肝腫大)が複数揃って初めて検査を行う。 PDH(85%)とAT(15%)の鑑別にはLDDS 4時間・8時間値の評価と腹部超音波が有用。 治療はトリロスタン。日本での承認薬名はアドレスタン®(共立製薬)など。海外先発薬名はベトリル®(Vetoryl)。
| 検査 | 感度 | 特異度 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| LDDS | 85〜100% | 40〜73% | 感度が高い。4/8h値でPDH/AT鑑別の手がかり | 偽陽性が多い。8時間の入院が必要 |
| ACTH刺激試験 | 57〜95% | 59〜93% | 短時間(1〜2h)。医原性HACを検出 | AT由来HACの感度が低い |
| UCCR | ≒100% | 20〜30% | 最も感度が高い。自宅採尿で簡便 | 特異度が極めて低い。ルールアウト目的のみ |
⚠️ UCCRが正常 → HACをほぼ除外できる(感度≒100%)。ただし陽性ならHACとは限らない(特異度が低い)。
graph TD
A["臨床症状あり? (多飲多尿, 腹部膨満, 脱毛, 皮膚菲薄化, パンティング, ALP著増など)"] --> B{"複数の典型症状が合致?"}
B -->|"No"| C["HAC検査は時期尚早。他の疾患を検討"]
B -->|"Yes"| D{"併発疾患の急性期や重度ストレスはないか?"}
D -->|"Yes"| E["偽陽性リスク高。安定化後に再検査"]
D -->|"No"| F["スクリーニング検査実施"]
F --> G["LDDST 実施"]
F --> H["UCCR 実施"]
G --> I{"LDDST結果"}
I -->|"コルチゾール抑制"| J["HACは否定的"]
I -->|"コルチゾール非抑制"| K["HACの疑い強い"]
H --> L{"UCCR結果"}
L -->|"正常"| J
L -->|"上昇"| K
K --> M["鑑別検査: HDDST or 内因性ACTH"]
M --> N{"HDDST: 4h/8hで抑制あり? or ACTH高値?"}
N -->|"Yes"| O["PDH: 下垂体性"]
N -->|"No"| P["AT: 副腎腫瘍"]
O --> Q["治療: トリロスタン (PDH第一選択)"]
P --> R["腹部エコー: 副腎サイズ評価"]
R --> S["AT 4cm超: 血管浸潤評価必須"]
S --> T["治療: 副腎摘出術 or トリロスタン"]
| 特徴 | PDH(下垂体性) | AT(副腎腫瘍) |
|---|---|---|
| 頻度 | 約85% | 約15% |
| LDDS 4h値 | 一部で一時的抑制あり | 抑制なし |
| HDDS | 約75%で抑制される | 抑制なし |
| 腹部超音波 | 両側副腎の対称性腫大 | 片側副腎の腫瘤+対側の萎縮 |
| 治療 | トリロスタン(or 下垂体放射線治療) | 副腎摘出術 or トリロスタン |