「全身麻酔だけで十分」は過去の話。歯科処置の4つのブロック、去勢の精巣ブロック、避妊のSplash Block ── 5分のひと手間で術後の痛みが劇的に減る。リドカインとブピバカインの安全量、猫の「半量ルール」。
graph TD
A["局所麻酔 適用検討"] --> B{"手術の種類は?"}
subgraph 1. ブロック部位の選択
B -->|"歯科処置"| C["歯科ブロックから選択"]
C --> C1("眼窩下孔ブロック 吻側上顎歯")
C --> C2("上顎神経ブロック 全上顎歯 口蓋")
C --> C3("下歯槽神経ブロック 全下顎歯 下唇")
C --> C4("オトガイ神経ブロック 吻側下顎歯")
B -->|"去勢手術"| D["精巣ブロック"]
B -->|"避妊手術"| E["Line Block / Splash Block"]
end
C1 & C2 & C3 & C4 & D & E --> F["薬剤選択へ"]
subgraph 2. 薬剤の選択と用量
F --> G{"目的と持続時間"}
G -->|"速効性 短時間"| G1["Lidocaine 2パーセント"]
G -->|"遅効性 長時間"| G2["Bupivacaine 0.5パーセント"]
G1 --> H["用量計算 犬 猫 最大用量"]
G2 --> H
H --> H1["猫は犬の半量 CNS毒性注意"]
end
subgraph 3. 安全管理の必須項目
H1 --> I["注入前 吸引テスト必須"]
I --> J["禁忌部位確認 リドカイン エピネフリン"]
J --> K["注入後 効果発現を待つ"]
end
局所麻酔・神経ブロックは全身麻酔を補完し、術中の麻酔薬使用量の削減と術後鎮痛の大幅な改善をもたらす。Lidocaine 2%は効果発現が数分と速く持続1-2時間(最大毒性用量: 犬 4-6 mg/kg、猫 2-3 mg/kg)。Bupivacaine 0.5%は発現に20-30分かかるが持続4-6時間で術後鎮痛に恩恵大(最大毒性用量: 犬 2.0 mg/kg、猫 1.0-1.5 mg/kg)。猫は局所麻酔薬の中枢神経毒性に弱く犬の半量が安全上限。一般病院で特に有用なのは歯科処置での4つのブロック(眼窩下孔・上顎神経・下歯槽神経・オトガイ神経)と、去勢の精巣ブロック、避妊のLine/Splash Block。注入前には必ず吸引テストで血管内誤注入を回避する。
| 薬剤 | 効果発現 | 持続 | 犬 最大用量 | 猫 最大用量 |
|---|---|---|---|---|
| Lidocaine 2% | 数分(速い) | 1-2時間 | 4-6 mg/kg | 2-3 mg/kg |
| Bupivacaine 0.5% | 20-30分(遅い) | 4-6時間 | 2.0 mg/kg | 1.0-1.5 mg/kg |
※かつてはLidocaineとBupivacaineの1:1混合が流行したが、現在はpH変化による結晶化や効果減弱(希釈による)を招くため推奨されていない。
| ❌ 旧来 | ✅ 最新 |
|---|---|
| 全身麻酔があれば局所ブロックは不要 | 局所ブロックは「マルチモーダル鎮痛」の中核。術中の麻酔薬量を減らし、覚醒の質と術後鎮痛を劇的に改善する |
| 猫もリドカインを犬と同じ量で使える | 猫はCNS毒性への感受性が高い。犬の半量(2-3 mg/kg)を安全上限として厳守 |
| 神経ブロックは専門技術で一般病院には難しい | 歯科ブロック・精巣ブロック・Splash Blockはランドマーク法で5分以内に実施可能。特別な機材不要 |
| ブロック名 | 対象領域 | 注入部位 |
|---|---|---|
| 眼窩下孔ブロック | 上顎第3前臼歯より吻側(切歯・犬歯) | 眼窩下孔(第3前臼歯根尖部直上) |
| 上顎神経ブロック | 上顎全ての歯・口蓋軟部組織 | 眼窩後方の切痕から |
| 下歯槽神経ブロック | 下顎の全歯・下唇 | 下顎孔(下顎角の内側面)付近 |
| オトガイ神経ブロック | 下顎第2小臼歯より吻側 | 中オトガイ孔 |