「今まさに発作が止まらない」─ てんかん重積は脳の救急事態。ジアゼパムの投与から頭蓋内疾患の除外まで、一般病院でできる初期対応。
てんかん重積(status epilepticus: SE)は5分以上持続する発作、または意識回復なく2回以上繰り返す発作と定義され、脳の救急事態として直ちに介入が必要。初期対応は①ジアゼパム 0.5-1mg/kg IV(or 直腸内投与)で発作を止める ②ABCの確認(気道・呼吸・循環)③低血糖・低Ca・中毒など代謝性原因の除外。ジアゼパム単回投与で止まらない場合は2回まで繰り返し(最大3回)、それでも効かなければレベチラセタム 30-60mg/kg IVの追加、さらに難治性ではプロポフォールCRI 0.1-0.6mg/kg/minによる全身麻酔管理を検討。初発の発作であっても6歳以上の犬・猫、発作間欠期に神経学的異常(意識障害・旋回・瞳孔左右差)がある場合は頭蓋内疾患(脳腫瘍・脳炎)を強く疑い、MRI検査を推奨。
graph TD
A["発作発生/SE疑い"] --> B{"SE定義満たす? (5分超持続 or 意識回復なく2回以上)"}
B -->|"Yes"| C["ジアゼパム 0.5-1mg/kg IV/直腸内"]
B -->|"No"| Z["SEではない/経過観察"]
C -->|"同時並行"| F["血糖チェック iCa/NH3"]
F -->|"低血糖あり (<60mg/dL)"| G["デキストロース 0.5g/kg IV"]
G --> D{"発作停止?"}
F -->|"低血糖なし"| D
C -->|"同時並行"| E["ABC確認 O2フローバイ"]
D -->|"Yes"| H["SE停止: 安定化 基礎疾患検索/維持療法"]
D -->|"No (1回目後)"| I["ジアゼパム 2回目"]
I --> J{"発作停止?"}
J -->|"Yes"| H
J -->|"No (2回目後)"| K["ジアゼパム 3回目"]
K --> L{"発作停止?"}
L -->|"Yes"| H
L -->|"No (3回目後)"| M["レベチラセタム 30-60mg/kg IV over 5min"]
M --> N{"発作停止?"}
N -->|"Yes"| H
N -->|"No (難治性SE)"| O["プロポフォールCRI 0.1-0.6mg/kg/min"]
O --> P["挿管・人工換気準備"]
O --> Q["SE停止: 安定化 基礎疾患検索/維持療法"]
| ステップ | アクション | 詳細 |
|---|---|---|
| 0-2分 | 💉 ジアゼパム投与 | 0.5-1mg/kg IV(留置が取れない場合は直腸内投与 1-2mg/kg)。IM投与は吸収が不安定で非推奨 |
| 同時 | 🔍 ABCの確認 | 気道確保(吸引、分泌物除去)、酸素フローバイ、HR・SpO2 |
| 2-5分 | 🩸 血糖チェック | 低血糖(< 60mg/dL)→ デキストロース0.5g/kg IV(少なくとも1:1〜1:4以上に生理食塩水などで希釈して緩徐に投与。静脈炎防止)。iCa・NH3も |
| 5分 | 💉 ジアゼパム2回目 | 発作持続 → 同量を繰り返し(最大3回) |
| 10-15分 | 💊 レベチラセタム | ジアゼパムで止まらない → レベチラセタム 30-60mg/kg IV over 5min |
| 15-30分 | 😴 プロポフォールCRI | 難治性SE → プロポフォール 1-6mg/kg IV bolus → 0.1-0.6mg/kg/min CRI。挿管・人工換気準備 |
| カテゴリ | 所見 |
|---|---|
| 年齢 | 初発が6歳以上(脳腫瘍の確率が上がる)。逆に1歳未満は先天性・代謝性を疑う |
| 発作間欠期の神経症状 | 旋回、斜頸、瞳孔の左右差、意識障害、視覚消失、測定過大 |
| 発作の性質 | 焦点性発作(片側性の顔面痙攣、特定の肢の律動運動)→ 構造的病変を示唆 |
| 発作の頻度増加 | 進行性に頻度が増加 → 進行性疾患(腫瘍・脳炎)を示唆 |
飼い主にも処方でき、自宅での群発発作に備えるレスキュー薬として重要。
一般病院でMRIがない場合でも: