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🎯 結論

  • 「赤い目」の鑑別で最重要なのは眼圧測定である。正常10〜25 mmHg → 緑内障では>25〜30 mmHg(急性期は50〜80 mmHg)。緑内障を見逃すと数時間〜24時間以内に不可逆的失明に至る
  • 原発性閉塞隅角緑内障(PACG)の犬は、片眼発症後に予防的治療を行わないと50%が8ヶ月以内に、ほぼ100%が2年以内に反対眼も発症する
  • 犬の結膜炎の多くはKCS(乾性角結膜炎)やアレルギーに続発し、猫ではFHV-1が原因の大部分を占める

📖 詳細解説

「赤い目」は最も頻繁に遭遇する主訴の一つであるが、良性の結膜炎と視力喪失に直結する緑内障は対極の疾患である。一次診療での最初の判断が患者の視力を左右する。

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検査 結膜炎 緑内障
眼圧(Tonometry) 正常(10〜25 mmHg) >25〜30 mmHg(急性期で50〜80 mmHg)
STT-1 KCSの場合 <10 mm/分 正常
瞳孔 正常 散大(対光反射消失〜遅延)
角膜 透明(潰瘍合併を除く) 角膜浮腫(ブルーアイ)
充血の種類 結膜充血(エピネフリン試験で消退) 上強膜血管怒張(消退しない)
疼痛 軽度(掻痒・不快感) 重度(沈鬱・食欲不振)

エピネフリン試験: 1%エピネフリンまたは2.5%フェニレフリン点眼後、5分以内に赤みが消退 → 結膜充血(結膜炎)。消退せず太く蛇行した血管が残存 → 上強膜血管怒張(緑内障や深部眼疾患)

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疫学

  • 犬の総来院数の約0.5〜1.7%
  • 犬の原発性閉塞隅角緑内障(PACG)の好発犬種: 柴犬、アメリカン・コッカー・スパニエル、バセット・ハウンド、ボストン・テリア
  • 猫の原発性緑内障は極めて稀(多くはぶどう膜炎に続発する二次性)
  • 両眼性リスク: 片眼発症後、予防的治療なしで50%が8ヶ月以内に反対眼も発症

治療 ─ 眼科的救急

視力維持のタイムリミット: 数時間〜24時間以内

急性期内科治療(眼圧下降)

1. ラタノプロスト(0.005%): 犬のPACGの第一選択。15〜30分で縮瞳+眼圧下降 ※猫・前眼部ぶどう膜炎・水晶体前方脱臼には禁忌
2. ドルゾラミド/チモロール配合剤: 1日2〜3回
3. マンニトール: 眼圧>50 mmHgの緊急時。1〜2 g/kg IV、20〜30分かけて(心血管系疾患に注意)

反対眼の予防的治療

  • 健眼への予防的点眼により、発症までの期間を有意に延長可能(※過去のデメカリウム点眼を用いた研究では、発症中央値が約8ヶ月から約31ヶ月に大幅に延長したと報告されている。チモロール等でも遅延効果が期待される)

外科的治療

  • 視力あり: 前房シャント術、半導体レーザー毛様体光凝固術(ECP)。術後1年の成功率50〜70%
  • 視力なし: 眼球摘出術、強膜内シリコン義眼挿入術

予後

  • 視力維持の予後は不良: PACGの犬の約70%以上が1〜2年以内に視力を完全喪失
  • 外科治療の合併症率: チューブ閉塞、前房出血、重度ぶどう膜炎が30〜50%で発生
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犬の結膜炎

  • 犬の原発性感染性結膜炎は稀。多くはKCS(有病率約4〜5%)、アレルギー、眼瞼内反などに続発
  • KCSの治療: シクロスポリン(0.2%)またはタクロリムス(0.1%)の眼軟膏/点眼(免疫抑制・催涙療法)

猫の結膜炎

  • 猫の結膜炎の90%以上がFHV-1、Chlamydia felis、マイコプラズマによる一次性感染
  • FHV-1の治療: ファムシクロビル 90 mg/kg PO 1日2回、または 40 mg/kg PO 1日3回(約2〜3週間)。点眼ではシドホビル(0.5%)1日2回

予後

  • 予後は良好。ただしKCSやFHV-1は「完治」ではなく生涯管理
  • 猫のFHV-1キャリアの再発率: ストレス下で約40〜50%
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  • 日本では柴犬がPACGの最も重要な好発犬種であり、定期的な眼圧スクリーニングを強く推奨する
  • トノベットなどのリバウンド式眼圧計はコンパクトで一次診療にも導入しやすく、「赤い目」の初期鑑別に有用である
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Q. 「目が赤いだけなので急がなくてもいいですか?」

目の赤みにはいろいろな原因がありますが、中には緑内障のように数時間で視力を失ってしまう緊急の病気が含まれています。特に目が膨らんで見える、白く濁っている、元気がないといった場合は一刻を争います。目の赤みに気づいたら、できるだけ早めにご来院いただくことをおすすめします。

Q. 「緑内障と言われました。見えるようになりますか?」

正直にお伝えすると、緑内障は治療をしても視力を完全に維持することが難しい病気です。ただし、早期に治療を始めることで見える期間を延ばすことはできます。また、もう片方の目に予防的なお薬を使うことで、発症を大幅に遅らせることができます。今できる最善の治療をご一緒に考えましょう。

Q. 「猫が目やにと涙が止まりません」

猫の目やにや涙の原因として最も多いのは猫ヘルペスウイルスという感染症です。一度感染すると体の中にウイルスが潜んで、ストレスがかかると再発することがあります。完全にウイルスをなくすことは難しいですが、お薬で症状をしっかりコントロールできます。ストレスの少ない環境づくりも大切です。
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