角膜は外側から以下の4層で構成される。
潰瘍の深さが治療方針を決定するため、スリットランプ生体顕微鏡によるストロマ欠損の割合の評価が不可欠である。
| 深さ | 分類名 | 治療の方向性 |
|---|---|---|
| 上皮のみ欠損 | 表層性角膜びらん | 抗菌点眼のみで治癒可能。通常3〜7日 |
| ストロマの50%未満 | 浅い実質性潰瘍 | 抗菌点眼+散瞳薬で内科管理。治癒に1〜3週間 |
| ストロマの50%以上 | 深い実質性潰瘍 | 外科的介入を強く推奨(結膜フラップ等) |
| デスメ膜露出 | デスメ膜瘤 | 緊急の外科適応。穿孔のリスクが極めて高い |
| 全層穿孔 | 角膜穿孔 | 即座の外科修復が必要 |
二次感染の予防・治療が全ての角膜潰瘍管理の基本である。
角膜潰瘍は反射性の前ぶどう膜炎を引き起こし、毛様体筋の痙攣による強い疼痛を伴う。
融解性角膜潰瘍(Melting ulcer)は、細菌や白血球由来のコラゲナーゼ(MMP)がストロマのコラーゲンを急速に分解し、角膜がゼリー状に融解する緊急病態である。
角膜潰瘍の管理においてエリザベスカラーの装着は絶対必須。自己損傷(前肢での掻き)による潰瘍の深化・穿孔を防止する。
最もよく用いられる外科手法。結膜組織で潰瘍部位を被覆し、血管からの栄養供給と構造的支持を提供する。
| 禁忌薬 | 理由 |
|---|---|
| ステロイド点眼薬 | 角膜上皮の再生を阻害し、コラゲナーゼ活性を増強。潰瘍の悪化と穿孔を招く |
| NSAIDs点眼薬 | 角膜の治癒遅延。融解性潰瘍のリスクを高める |
角膜潰瘍が疑われる「赤い目」に対し、原因不明のままステロイド点眼を処方することは臨床上の重大なエラーである。フルオレセイン染色による角膜潰瘍の有無の確認を、ステロイド点眼処方前に必ず行うべきである。