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🎯 結論

graph TD
    A["マラセチア皮膚炎 症状"] --> B{"細胞診 陽性?"}
    B -->|"Yes"| C["診断 マラセチア皮膚炎"]
    C --> D["急性期治療 3-4週"]
    D -->|"局所療法"| D1["抗真菌シャンプー/ローション"]
    D -->|"全身療法 必要に応じて"| D2["内服薬 KTZ ITZ"]
    D --> E{"治療効果評価 3-4週後"}
    E -->|"改善あり"| F["維持 再発予防"]
    F --> F1["維持シャンプー"]
    F --> F2["基礎疾患 管理"]
    E -->|"改善乏しい または 再発"| G["再評価と原因究明"]
    G --> H["基礎疾患の再検討"]
    H --> H1["アトピー性皮膚炎"]
    H --> H2["甲状腺機能低下症"]
    H --> H3["食物アレルギー クッシング"]
    H --> H4["原発性脂漏症"]
    G --> I["治療プロトコル見直し"]
    I --> I1["シャンプー接触時間 用量"]
    I --> I2["薬剤選択 再確認"]

Malassezia pachydermatisは犬の皮膚の常在真菌であり、マラセチア皮膚炎は「マラセチアが増えた」こと自体が原因ではなく、増えやすい環境を作った基礎疾患が真の原因。治療は①急性期の抗真菌療法(局所+全身)②基礎疾患(アトピー・甲状腺機能低下症・食物アレルギー・脂漏症)の特定と管理 ③再発予防のための維持シャンプー療法の3段階。抗真菌薬はケトコナゾール2%またはミコナゾール2%シャンプーの週2回使用が局所療法の第一選択。全身療法はケトコナゾール5-10mg/kg PO SIDまたはイトラコナゾール5mg/kg PO SIDを3-4週間。再発を繰り返す場合は必ず甲状腺機能検査とアレルギーワークアップを実施する

💊 抗真菌治療の比較

治療法 薬剤・用量 期間 注意点
局所:シャンプー ケトコナゾール2%、ミコナゾール2%+クロルヘキシジン2% 週2回 × 3-4週
→ 維持: 週1回
接触時間が重要: 最低10分放置してから洗い流す
局所:ローション ミコナゾールクリーム/ローション 1日1-2回 × 2-4週 限局性の病変(趾間、唇など)に有用
全身:ケトコナゾール 5-10mg/kg PO SID(食事と一緒に) 3-4週 ⚠️ 肝毒性あり。猫には禁忌。投与前・2週後にALT確認
全身:イトラコナゾール 5mg/kg PO SID(食事と一緒に) 3-4週 猫にも使用可。ケトコナゾールより肝毒性が少ない

🔄 再発を繰り返す場合のチェックリスト

基礎疾患 スクリーニング 頻度
アトピー性皮膚炎 Favrotの基準、季節性の確認、IgE検査 ★★★ 最多
甲状腺機能低下症 T4、fT4、TSH ★★ 中年〜高齢犬
食物アレルギー 除去食試験(8-12週間) ★★ 通年性の場合
クッシング症候群 ACTH刺激試験、LDDS ★ 多飲多尿・腹部膨満あれば
原発性脂漏症 犬種素因(コッカー、シーズー、WHWT) ★ 犬種特異的

📖 詳細解説

メカニズム

  • M. pachydermatisは犬の皮膚(外耳道、唇、趾間、肛門周囲、皮膚のしわ)に常在する酵母。※マラセチア属の中で唯一の【非脂質依存性(非要求性)】酵母であり、脂質を添加しなくても培養可能(他のマラセチア種はすべて脂質要求性)
  • 皮膚バリアの破綻(アトピー等)→ 皮脂組成の変化 → マラセチアの過剰増殖
  • マラセチアが産生するリパーゼが皮脂を分解 → 遊離脂肪酸 → 炎症を増幅
  • 一部の犬はマラセチアに対するIgE媒介性の過敏症を持つ → 少量のマラセチアでも強い掻痒
  • 細菌(ブドウ球菌)との混合感染も多い → 必要に応じて抗菌薬を併用

💡 診断のコツ ─ 細胞診が決め手

  • テープストリップ法が最も簡便: 透明テープを皮膚に押し当て、ディフクイック染色
  • 高倍率(×1000・油浸)で観察。1視野あたり2個以上の酵母で臨床的に有意
  • ダルマ型の出芽酵母(フットプリント形)が特徴的
  • 培養は通常不要(常在菌のため陽性でも診断的意義は低い)
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シャンプー療法のエビデンス

  • ミコナゾール2% + クロルヘキシジン2%の配合シャンプーが最も研究されている(マラセチア+細菌の混合感染に有効)
  • 接触時間が最も重要な治療因子: 最低10分間の放置が必要。シャンプーをつけてすぐ洗い流すと効果が大幅に低下
  • 急性期: 週2回 × 3-4週間
  • 維持期: 週1回(または2週に1回)── 基礎疾患が管理されていれば徐々に減量可能
  • 部分浴(趾間だけ、耳介だけ)も有効 ─ 全身浴が困難な高齢犬や心疾患犬に

よくある失敗パターン

  • 「シャンプーしてるのに治らない」→ 接触時間が短すぎる(飼い主に実演して見せると効果的)
  • 「薬用シャンプーで乾燥した」→ シャンプー後の保湿が不足。セラミド配合の保湿剤を推奨
  • 「よくなったのでシャンプーをやめた」→ 維持療法の重要性を説明
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マラセチア外耳炎の治療

  • マラセチアは外耳炎の最も一般的な原因菌の一つ(特にコッカー・スパニエル、シーズー)
  • 局所治療が第一選択: ミコナゾール/クロトリマゾール含有の点耳薬
  • 耳道洗浄: 酢酸系イヤークリーナー(pH低下でマラセチアの増殖を抑制)
  • 週1-2回の洗浄 + 抗真菌点耳薬を2-3週間
  • 再発防止: 週1回のイヤークリーナーを長期的に継続
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「マラセチアって何?うつるの?」

マラセチアは人間にも犬にも元々住んでいるカビの仲間です。普段は悪さをしませんが、皮膚のバリア機能が弱って増えすぎると、痒みやベタつき、においの原因になります。人へうつることはほとんどありませんので、ご安心ください。大事なのは「なぜ増えたのか」という原因を見つけることです。

「シャンプーで治っても、またすぐ再発するんですが…」

再発を繰り返す場合、シャンプーだけでは不十分で、根っこにある原因(アレルギーやホルモン異常など)を調べる必要があります。その原因を治療しつつ、予防的に週1回のシャンプーを続けることで、再発を大幅に減らせます。
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  1. Bond R. Superficial veterinary mycoses. Clin Dermatol 2010;28(2):226-236.
  2. Negre A et al. Evidence-based veterinary dermatology: a systematic review of interventions for Malassezia dermatitis in dogs. Vet Dermatol 2009;20(1):1-12.
  3. Morris DO. Malassezia dermatitis and otitis. Vet Clin North Am Small Anim Pract 1999;29(6):1303-1310.
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  5. Miller WH, Griffin CE, Campbell KL. Muller and Kirk's Small Animal Dermatology, 7th ed. Elsevier, 2013.
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