低血糖による発作・意識消失に対し、50%ブドウ糖液(D50)0.5-1.0 mL/kg IV slow(必ず等倍以上に希釈して12.5-25%にする。原液は血管炎リスク)を投与し、通常1-2分で臨床徴候が改善する。ボーラスのみではリバウンド低血糖(インスリン過剰分泌)のリスクがあるため、2.5-5%ブドウ糖をCRIで持続投与し、1-2時間ごとに血糖モニタリングを行う。インスリノーマ等でブドウ糖補充のみでは血糖維持が困難な場合は、グルカゴン CRI 5-15 ng/kg/minを検討する。インスリノーマの長期管理にはPrednisolone 0.25-0.5 mg/kg PO q12hやジアゾキシド 5 mg/kg PO q12hが用いられる。鑑別として高齢犬のインスリノーマ、若齢トイ犬種の肝グリコーゲン枯渇、敗血症、アジソン病、肝不全、キシリトール中毒、インスリン過量投与を考慮する。
| Step | 薬剤 | 用量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ① ボーラス | 50% Dextrose (D50) | 0.5-1.0 mL/kg IV slow | 必ず希釈 → 12.5-25%。原液は血管炎リスク。発作消失時点で直ちに注入を止める(押し切らない) |
| ② CRI | 2.5-5% Dextrose | 糖を含まない晶質液(生食やリンゲル等)に添加 | リバウンド予防。※すでに糖を含む維持液(3号液等)に添加すると静脈炎リスクがあるため注意 |
| ③ 難治性 | Glucagon | CRI 5-15 ng/kg/min | 高額、嘔吐の副作用あり |
計算例(糖を含まない500mLバッグを使用): 25mL抜き → D50を25mL入れる → 2.5%。50mL抜き → D50 50mL入れる → 5%。
| ❌ 旧来 | ✅ 最新 |
|---|---|
| 低血糖 → ブドウ糖ボーラスだけで解決 | ボーラス後にCRIで維持しないとリバウンド低血糖を起こす(特にインスリノーマ) |
| 50%ブドウ糖をそのまま静注 | 必ず希釈して12.5-25%にする。原液は高浸透圧で血管炎・壊死のリスク |
| 血糖値を正常に戻すことが目標 | 目標は正常化ではなく臨床徴候の消失。過剰なブドウ糖はインスリン分泌をさらに刺激する |
| 薬剤 | 用量 | 作用 |
|---|---|---|
| Prednisolone | 0.25-0.5 mg/kg PO q12h | 糖新生促進、インスリン抵抗性↑ |
| Diazoxide | 5 mg/kg PO q12h | インスリン分泌抑制 |
💡 臨床Tips
- インスリノーマの食事管理は「高タンパク・高脂肪・複合炭水化物」の少量頻回給餌が鍵。長時間の絶食を避けること。
- ⚠️ 単糖類(ハチミツや甘いおやつ等)の日常的な給餌は絶対禁忌。インスリンの急激な大量放出(スパイク)を誘発し、食後に致死的なリバウンド低血糖を招く。
- 運動・興奮を制限(血糖消費の増大を防ぐ)。
| 原因 | 典型的な患者 | ポイント |
|---|---|---|
| インスリノーマ | 中〜高齢犬。フェレット。※猫は極めて稀 | 低血糖時のインスリン値が不適切に高い(抑制されていない) |
| 膵外腫瘍 | 高齢犬(肝細胞癌、平滑筋肉腫など) | IGF-2等の過剰産生。低血糖時にインスリン値は低値(抑制)を示す |
| 若齢トイ犬種 | チワワ、ヨーキー等の子犬 | 肝グリコーゲン貯蔵量が少ない。絶食に弱い。門脈体循環シャント(PSS)の除外も必要 |
| 敗血症 | 発熱 + 頻脈 + 白血球異常 | グルコース消費↑ + 肝糖新生障害 |
| アジソン病 | 嘔吐・低Na・高K | コルチゾール欠乏による糖新生低下 |
| キシリトール中毒 | ガム・菓子を食べた犬 | 大量インスリン放出 → 急激な低血糖 |
| インスリン過量投与 | 糖尿病治療中 | 投与履歴確認 |