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🎯 結論

アジソン病は「偉大なる模倣者 (The Great Imitator)」と呼ばれるほど非特異的な症状を示し、消化器疾患・腎疾患・感染症と誤診されやすい。犬の原発性副腎不全の大半は免疫介在性の副腎皮質破壊が原因と考えられている。診断のゴールドスタンダードはACTH刺激試験で、合成ACTH投与1時間後のコルチゾールが<2μg/dLで確定。スクリーニングとしてベースラインコルチゾール>2μg/dLで除外可能。アジソンクリーゼではデキサメタゾンリン酸Na 0.1mg/kg IV(ACTH試験に干渉しない)+平衡晶質液ボーラスで救命し、安定後はDOCP 1.1-1.5mg/kg SC/IM 25-30日ごと + プレドニゾロン 0.05-0.1mg/kg/day POの生涯補充で、正常な寿命を全うできる。

🔬 ACTH刺激試験 ─ 判定フローチャート
graph TD
    A["アジソン病を疑う"] --> B("ベースラインコルチゾール測定")
    B --> C{"ベースラインコルチゾール > 2μg/dL ?"}
    C -->|"Yes"| D["アジソン病を除外"]
    C -->|"No"| E("合成ACTH投与 5μg/kg IV")
    E --> F("1時間後コルチゾール測定")
    F --> G{"刺激後コルチゾール < 2μg/dL ?"}
    G -->|"Yes"| H["アジソン病を確定"]
    G -->|"No"| I["アジソン病を除外"]

ステップ 内容
1. ベースライン採血 血清コルチゾール測定
2. 合成ACTH投与 コシントロピン 5μg/kg IV
3. 1時間後採血 ACTH刺激後コルチゾール測定

判定:

  • ACTH刺激後コルチゾール <2μg/dL → 🔴 アジソン確定
  • ACTH刺激後コルチゾール >6μg/dL → 🟢 アジソン除外

⚠️ デキサメタゾン以外のステロイド(プレドニゾロン等)はコルチゾール測定に干渉するため、検査前2週間は投与を避ける。

⚡ 「あれ?おかしいな」── アジソンを疑うべきサイン

見逃しやすいポイント 説明
ストレス白血球像の欠如 「具合が悪いのにリンパ球減少・好酸球減少がない」→ コルチゾール欠乏を示唆
Na:K比 <27:1 低Na + 高K → ミネラルコルチコイド欠乏を強く疑う
軽度BUN/Cre上昇 腎疾患と誤診されやすいが、実は腎前性高窒素血症(脱水・循環不全)
電解質正常でも油断禁物 非典型型(Atypical): グルココルチコイドのみの欠乏 → 電解質正常で見逃される
ワクシング&ウェイニング 症状の増悪と寛解を繰り返す → 「改善したからもう大丈夫」で見逃し

📖 詳細解説

アジソンクリーゼ ─ 緊急プロトコル

  • Step 1: 輸液蘇生
    • 平衡晶質液(乳酸リンゲル、Plasma-Lyte、Normosol-R)
    • 15-30 mL/kg を15-20分でボーラス → バイタル再評価 → 必要に応じ反復
    • 0.9%生食も使えるが、平衡晶質液の方がアシドーシス改善に優れる
  • Step 2: デキサメタゾン
    • デキサメタゾンリン酸Na 0.1mg/kg IV q12h
    • ACTH刺激試験に干渉しない → 診断確定前でも投与可能
    • 高用量(2mg/kgなど)は過剰 → 不要
  • Step 3: 高K血症への対応(K >7 mEq/L or 心電図異常時)
    • 10%グルコン酸Ca 1mL/kg IV 10-15分かけて(心筋保護)
    • レギュラーインスリン 0.2-0.5 IU/kg IV + ブドウ糖 1-2g/IU
    • 重炭酸Na 1-2mEq/kg IV 緩徐投与

⚠️ 低Na血症の補正速度

  • 重度低Na血症(<120 mEq/L)ではNa補正速度を≤10-12 mEq/L/日に制限
  • 急速補正 → 中枢性橋脱髄症候群(浸透圧性脱髄)→ 不可逆的な神経障害
  • 輸液速度を調整しながら4-6時間ごとに電解質をモニタリング
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項目 推奨内容
アジソンクリーゼ(急性期)
  • 輸液: ショック量(15-30 mL/kg〜)急速投与
  • Dexamethasone SP: 0.1-0.2 mg/kg IV
    (ACTH刺激試験のコルチゾール測定に干渉しないため必須。Prednisoloneは禁忌
  • 高K血症対策(グルコン酸Ca、インスリン+ブドウ糖)
維持治療(安定後)
  • DOCP: 1.1-1.5 mg/kg SC/IM q25-28days (Zycortal/Percorten-V)
  • Prednisolone: 0.05-0.2 mg/kg/day PO(生理的用量)
モニタリング 注射後10-14日25日頃に電解質チェック

グルココルチコイド: プレドニゾロン

Phase 用量
初期 0.5-1.0 mg/kg/day PO
維持 0.05-0.1 mg/kg/day(多くの犬で十分)
ストレス時 通常量の2-3倍に増量(来院・旅行・手術)

💡 管理のコツ

  • DOCP にはグルココルチコイド活性がほぼないため、必ずプレドニゾロンを同時に開始する
  • 飼い主にはストレスイベント(犬にとっての来客、雷、旅行、トリミングなど)の前にプレドニゾロンを増量するよう指導
  • 安定したら電解質モニタリングは3-6ヶ月ごとに延長可能
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「アジソン病ってどんな病気?」

副腎という小さな臓器から出るホルモンが足りなくなる病気です。このホルモンはストレスに対応したり、体の塩分バランスを保つ大事な役割をしています。不足すると元気がなくなったり、嘔吐・下痢を繰り返したり、ひどい場合はショック状態になります。原因は〇〇ちゃんの免疫が自分の副腎を攻撃してしまうことが多いです。

「一生薬が必要なの?」

はい、月に1回の注射(ホルモンの補充)と、毎日の少量のお薬が必要になります。でも心配しないでください。きちんと管理すれば〇〇ちゃんは普通の寿命を全うできます。ただ、旅行や来客など「いつもと違うこと」がある時はお薬を少し増やす必要があるので、そのタイミングだけ覚えておいてくださいね。

「緊急の時はどうすれば?」

急に元気がなくなった、ぐったりしている、震えている、といった症状が出たらすぐ連絡してください。これを「アジソンクリーゼ」と言って、点滴と注射で対応しますが、早く処置すれば回復できます。特にストレスがかかった後に注意してください。
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